着物上達にもつながる前向きなイメージの力

着物着付け教室  麗和塾  内村 圭です。

 

私たちは毎日、数え切れないほどの情報に囲まれて生活しています。街を歩いていても、テレビを見ていても、人と会話をしていても、多くの情報が絶えず目や耳から入ってきています。しかし、そのすべてを同じように認識しているわけではありません。

近年、脳の働きについて語られる中でよく耳にするのが、「人は自分が関心を持ったものを優先的に見つける」という考え方です。私たちの脳には、膨大な情報の中から、自分にとって重要だと判断したものを選び出そうとする働きがあるといわれています。

たとえば、新しい車を購入しようと思った途端、それまで気にも留めていなかった同じ車種を街中で頻繁に見かけるようになった経験はないでしょうか。また、旅行先を決めた途端に、その地域に関する情報がテレビや雑誌、インターネットなどから自然と目に入るようになることもあります。

実際には以前から存在していた情報なのですが、自分の意識がそこへ向いたことで、脳がその情報を拾いやすくなっているのです。

これは人生における挑戦や学びにも大きく関係しています。

何か新しいことに挑戦するとき、

「面白そう!」

「やったことはないけれど、やってみたい!」

「きっとできるようになる気がする!」

という前向きな気持ちを持つと、脳は自然と「できる理由」を探し始めます。

成功している人の話が気になったり、参考になる情報が目に入ったり、自分にできそうな方法が見つかったりします。すると行動する勇気が生まれ、少しずつ前へ進むことができるようになります。

もちろん最初から完璧にできる人はいません。失敗することもありますし、思うようにいかないこともあります。しかし、「できるようになりたい」という意識を持ち続けることで、脳はその目標に向かうための情報や方法を探し続けてくれるのです。

反対に、

「難しそう」

「失敗したらどうしよう」

「私には無理かもしれない」

という考えを繰り返していると、脳は今度は「できない理由」を集め始めます。

時間がない。

年齢が高い。

センスがない。

忙しい。

覚えられない。

そのような理由ばかりが目につくようになり、行動する前から諦めてしまうことも少なくありません。

周りを見渡してみると、「できない理由」を何度も口にしている人がいるかもしれません。

確かに誰にでも事情はありますし、不安を感じることも自然なことです。しかし、できない理由ばかりを探していては、その場に立ち止まったままになってしまいます。

どれほど小さな一歩でも、前へ進むためにはまず行動が必要です。

そして、その行動を後押しするのが「イメージの力」なのです。

私は着物の世界においても、このイメージの力はとても大切だと感じています。

着物を着たいと思っている方の中には、

「自分には難しそう」

「不器用だから無理かもしれない」

「覚えられる自信がない」

と不安を感じる方もいらっしゃいます。

しかし実際には、最初から上手に着られる人はいません。

着物を自分で着られるようになった方々も、初めは皆さん初心者でした。衿がうまく決まらなかったり、おはしょりがきれいに整わなかったり、帯結びに苦戦したりしながら少しずつ上達していったのです。

大切なのは、「いつか自分で着物を着て出かけている姿」をイメージすることです。

お気に入りの着物を着て街を歩いている姿。

友人とのランチを楽しんでいる姿。

観劇や旅行に着物で出かけている姿。

季節の花を見に行く姿。

そんな未来の自分を思い描くことで、「着られるようになりたい」という気持ちはより強くなります。

そして、その気持ちが行動を支え、練習を続ける力へと変わっていくのです。

着付け教室「麗和塾」では、このイメージづくりを大切にしています。

着付けは一度習っただけですぐに身につくものではありません。しかし、毎日長時間練習しなければならないというものでもありません。

お仕事や家事、育児などで忙しく、思うように練習時間を確保できない方も多くいらっしゃいます。

そのような方々にも安心して学んでいただけるよう、麗和塾ではレッスン内容を動画やテキストで確認できるようにしています。

実際に着物を着る時間が取れない日でも、動画を見ることで手順を思い出したり、頭の中で着付けの流れをイメージしたりすることができます。

スポーツ選手が試合前にイメージトレーニングを行うように、着付けもまた頭の中で動きを確認することが上達につながります。

「次はここを持つ」

「この順番で進める」

「こうすると衿元が整う」

このような確認を繰り返すことで、実際に着物を着る際の理解が深まり、自信にもつながっていきます。

着物を楽しむために大切なのは、誰かと比べることではありません。

昨日の自分より少し上達すること。

一歩ずつできることを増やしていくこと。

その積み重ねが、やがて大きな成果となって現れます。

私たちの脳は、自分が向けた意識に反応します。

「できるようになりたい」

「着物を楽しみたい」

「自分で着られるようになりたい」

そう思った瞬間から、脳はその実現に必要な情報や方法を探し始めてくれるのです。

だからこそ、まずは「できるかどうか」ではなく、「やってみたい」という気持ちを大切にしてみてください。

前向きなイメージは未来を変える大きな力になります。

着物も人生も同じです。自分の可能性を信じ、小さな一歩を積み重ねていくことで、理想としていた未来は少しずつ現実へと近づいていきます。

その歩みを楽しみながら、自分のペースで着物のある豊かな時間を育んでいただけたら幸いです。