憧れは未来の自分からのメッセージ

着物着付け教室福岡  麗和塾  内村圭です。

雑誌やテレビ、SNSなどで活躍する人の姿を見て、「素敵だなあ」「こんなふうになれたらいいな」と心が動くことはありませんか。
洗練された立ち居振る舞いや、美しい着こなし、自信に満ちた笑顔──そうした姿を見るたびに、憧れや羨ましさを感じることがあるでしょう。

実は、その「憧れ」の気持ちは、単なる他者への admiration(賞賛)ではありません。
それは、自分の中にも同じ輝きがあり、その可能性を映し出す“鏡”のようなものなのです。

■ 憧れの人は「自分の可能性」を映す存在

「憧れの人のようになれる」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
多くの人が半信半疑で受け取るこの言葉には、深い意味が込められています。

人は、自分の中に共鳴する部分を相手に感じるとき、心が惹かれるといわれます。
つまり、憧れの人に目が止まり、心が動くのは、その人が自分の内側にある“同じ光”をすでに輝かせているからなのです。
あなたが「素敵だな」と思うその要素は、すでにあなたの中にも眠っています。
ただ、まだ気づいていないだけで、それを目覚めさせるきっかけが「憧れ」なのです。

憧れは、あなたの心の中にある可能性が、「私もこんなふうに輝きたい」と声を上げた瞬間でもあります。
だからこそ、憧れの存在に出会うことは、とても幸せなこと。
それは未来の自分が「ここに進もう」と教えてくれているサインなのです。

■ 誰にでも「最初の一歩」はある

とはいえ、憧れの人と自分を比べると、「自分にはとても無理」「あの人は特別だから」と感じてしまうこともあります。
けれども、今輝いている人たちも、最初から完璧だったわけではありません。
誰もが最初は初心者であり、試行錯誤を重ねながら成長してきたのです。

技術やセンス、立ち居振る舞いといったものは、生まれ持った才能ではなく、日々の努力と継続によって磨かれていくもの。
続けることで少しずつスキルが身につき、自信が育ち、やがて「自分らしい形」に昇華していきます。

着物の着付けも同じです。
最初は思うように着られず、衿元がずれたり帯がゆるんだりして落ち込むこともあるかもしれません。
けれども、何度も練習を重ねていくうちに、手の動きが自然になり、鏡を見なくても整えられるようになります。
和髪のまとめ方、帯のアレンジ、色合わせの感覚も、繰り返すうちに少しずつ磨かれていくのです。

この積み重ねが、まさに「レベルアップ(レベ上げ)」の過程。
コツコツと続けることが、未来の自分をつくるのです。

■ 継続の先に見えてくる景色

継続の力は、目に見える成果だけでなく、心のあり方も変えていきます。
できなかったことができるようになるたびに、少しずつ自信が積み重なります。
昨日より今日、今日より明日──そんな小さな前進を感じることが、何よりの励みになるのです。

「自分にはまだまだ」と思っていても、続けているうちに、ある日ふと気づく瞬間があります。
「前よりも上手くなっている」「以前より手際がいい」「心に余裕が生まれた」──
その気づきこそが、継続の証であり、努力の結晶です。

着付けや和の所作だけでなく、人生のあらゆる場面で、継続は確かな力となって現れます。
小さな努力を重ねることは、未来の自分への贈り物。
今この瞬間の一歩が、数年後のあなたを形づくっているのです。

■ 「できるようになった自分」に目を向けて

継続には、時に忍耐が必要です。
思うように成果が出なかったり、上達を感じられなかったりすると、心が折れそうになることもあるでしょう。
けれども、そのような時こそ「できていないこと」ではなく、「できるようになったこと」に目を向けてみてください。

最初は時間がかかっていた着付けが、今は少し短くなっている。
以前よりも帯の形がきれいに整うようになった。
そんな小さな変化に気づくことで、心が明るくなり、次への意欲が湧いてきます。

学びや努力を続けることは、自分を責めるためではなく、自分を喜ばせるためのもの。
「まだまだ」ではなく、「ここまでできるようになった自分」を認めることが、継続の原動力になるのです。

■ 憧れを現実に変える力

憧れの存在と自分の間には、見えない距離があるように感じるかもしれません。
けれども、その距離を埋めるのは、特別な才能ではなく、日々の積み重ねと心の姿勢です。
焦らず、諦めず、自分のペースで歩み続けること。
それこそが、憧れを現実に変える最も確かな方法なのです。

あなたの中に芽生えた「素敵だな」「こうなりたい」という気持ちは、未来のあなたからのメッセージです。
その気持ちを大切に育てながら、一歩ずつ前に進んでいくうちに、気づけばあなた自身が、誰かにとっての「憧れの人」になっているかもしれません。

■ 憧れの先にある「自分らしい輝き」

憧れは、誰かの真似をすることではありません。
その人を通して、自分がどんな風に輝きたいのかを知る手がかりです。
そして、憧れは未来の自分からのメッセージ

― 憧れを追うことは、自分を育てること ―

学び、続け、そして自分を信じる。
その積み重ねが、いつの日か、あなた自身の美しい光となって輝くことでしょう。