着物の“若見え”のための大切な視点

着付け教室  麗和塾  内村圭です。

着物を着ると、「落ち着いて見える」「大人らしい雰囲気になる」といった印象を持たれることが多いものです。そのため、着物は年齢を重ねてから楽しむもの、あるいは若い人が着ると少し背伸びして見えるもの、というイメージを抱かれることも少なくありません。しかし実は、着物には“若見え”を叶える力があり、選び方や着こなし次第で、健康的で明るく、いきいきとした印象を演出することができるのです。

そのためにまず大切なのが、「自分に似合う色や柄の着物を選ぶこと」です。これは着物に限らず、洋服にも共通することですが、特に着物は面積が大きく、顔映りに与える影響が非常に強いため、似合う・似合わないの差がはっきりと表れます。自分に調和する色や柄を身にまとうと、肌は自然と明るく見え、血色も良く、表情までも生き生きとして見えるものです。周囲から見ても「なんだか若々しい」「元気そう」「明るい雰囲気だな」と感じられやすくなります。

一方で、残念ながら自分に合っていない色や柄の着物を選んでしまうと、実際には元気で気力も十分にあるにもかかわらず、どこか疲れているように見えたり、顔色がくすんで見えたりすることがあります。これは本人の魅力が足りないわけでも、年齢のせいでもありません。ただ単に、その着物がその人の持つ本来の美しさや生命力を引き出していないだけなのです。せっかく着物を楽しんでいるのに、印象として損をしてしまうのは、とてももったいないことだといえるでしょう。

若い頃は、「若く見せたい」と強く意識することは、あまりないかもしれません。年齢そのものが若さであり、何を着ていても自然とフレッシュな印象を持たれやすいからです。しかし、歳を重ねるにつれて、「少しでも若々しく見えたい」「元気で明るい印象を保ちたい」と願うようになるのは、とても自然なことです。それは決して無理に若作りをしたいという意味ではなく、自分らしい美しさや活力を大切にしたい、という前向きな気持ちの表れなのではないでしょうか。

着物を着て「落ち着いた雰囲気」に見えること自体は、決して悪いことではありません。むしろ、品格や余裕、大人ならではの魅力として受け取られる場面も多いでしょう。しかし、その落ち着きが「老けて見える」「元気がなさそうに見える」といった印象につながってしまうとしたら、それは非常に残念なことです。着物本来の魅力は、年齢を重ねた人を静かに引き立てながらも、その人の内側にある明るさや生命力を表に引き出してくれる点にあります。

だからこそ目指したいのは、「健康的で明るい印象」です。無理に華やかさを足したり、若さを誇張したりする必要はありません。自分の肌色や雰囲気に合った色味、顔立ちや体型に調和する柄行きを選ぶことで、自然と若々しさは生まれます。その結果、着物姿に自信が生まれ、立ち居振る舞いも美しくなり、全体の印象はさらに洗練されていくのです。

着物は、ただ「着る」だけの衣服ではありません。その人の生き方や美意識、そして年齢を重ねてきた時間までも映し出す装いです。だからこそ、自分に似合う一枚を知り、大切に選ぶことは、自分自身を大切にすることにもつながります。着物を通して、落ち着きの中にある若々しさ、穏やかさの中にある明るさを表現し、自分らしい美しさを楽しんでいきたいものですね。