結び目の日本独特の感性
着付け教室福岡 麗和塾 内村圭です。
「結び」とは、あるものとあるものの縁を結ぶことを指します。この「結び」には、糸や水引、紐などを使って作られた結び目には安定や安心の意味が込められています。
日本の伝統的な文化や習慣の中にも、この「結び」の概念が見られます。例えば、お守りには「叶結び(かのうむすび)」と呼ばれるものがあります。このお守りは、表が「口」で裏が「十字」の形に結ばれています。これは願いが叶うようにという意味が込められています。また、七五三の被服の飾り房は「菊結び」と呼ばれ、菊の除災招福の縁起にちなんでいます。
着物の帯を結ぶことにも意味があります。帯を結ぶことは、身体から魂が出ないようにするための儀式的な行為とされています。さらに、妊娠した女性が戌の日に腹帯を結ぶのは、戌(犬)の多産にあやかり、赤ちゃんの命が安全であるようにという願いが込められています。昔は赤ちゃんの死亡率が高かったため、新しい生命が安全に成長するよう祈るために行われていました。
これらの結び方には、日本特有の感性が込められています。結び方ひとつにも意味があり、日本の文化や習慣が思いや願いを形にすることを大切にしていることを示しています。このような「思いを形にする」文化は、日本人が古くから大切にしてきたものであり、その美しさと意味深さは素晴らしいものです。