着物の「反物」の意味とその魅力

着付け教室福岡 麗和塾 内村圭です。

 

着物は一般的に完成品としてすぐに身に付けられる状態で店に並んでいるわけではありません。既製品以外のものは、着物を仕立てる前段階の生地を指し、これを「反物(たんもの)」と呼びます。反物は円筒の芯に巻かれており、主に「小紋」「紬」「付け下げ」「浴衣」など、同じ柄が繰り返される着物の素材として利用されます。

反物の「反」は布の長さを表す単位であり、一着分の生地が一反であることから、着物を何着作れるかによって二反、三反と数えていきます。ただし、一反未満の生地でも反物と呼ばれることがあり、例外的に「胴裏」「八掛」「帯地」などがこれに該当します。

 

 

反物の価格は種類、産地、生地、加工方法などによって異なります。新品の反物の相場は一般的に数万円から数十万円程度であり、無形文化財や有名作家の手がけた品は数百万円以上になることもあります。生地には主に絹が使われ、特に経糸と緯糸がともに絹糸で織られたものを「正絹(しょうけん)」と呼び、これは高級品とされ、価格も高めです。

近年では反物から着物を仕立てる人が少なくなりましたが、その魅力は依然として健在です。誂え着物は自分のサイズにピッタリ合ったものに仕上げることができ着姿も決まりやすくなります。着物好きな人や興味を持つ人は、誂え着物をお勧めします。その着心地を実際に試してみることで、着物の新たな魅力を発見できるでしょう。反物から着物を作り上げるプロセスは、和服の奥深さと美しさを感じることができる素晴らしい経験となることでしょう。