着物がくれた自信と変化

着物着付け教室  麗和塾  内村圭です。

着物を自分で着られるようになる――。
その一歩が、人生に思いがけない変化と喜びをもたらすことがあります。

今回ご紹介したいのは、着物教室「麗和塾」に通われている受講生・M子さんの歩みです。
彼女がどのようにして着物と出会い、どのように心境を変え、自信を育んでいったのか。その過程は、「着物を学ぶこと」が単なる技術習得にとどまらず、人生そのものを豊かにしてくれることを教えてくれます。

■ 着物は「借りるもの」だった日々

M子さんが麗和塾に入塾される前、着物は特別な日にだけ身にまとうものでした。
結婚式や式典、特別なお出かけの際には、レンタルで着物を借り、着付けやヘアセットはすべてプロにお願いする――それが当たり前だったそうです。

「着物は好き。でも、自分で着るものではない」

そんな思いがどこかにありながらも、心の奥では
「いつか自分で着られるようになりたい」
という気持ちが、静かに芽生えていたといいます。

そして今年の7月。
その想いを行動に移し、月に一度のペースで着付けのレッスンをスタートされました。

■ 何も持っていないところからのスタート

レッスンを始めた当初、M子さんはご自身の着物を一枚もお持ちではありませんでした。
最初は教室の着物を借りて、基本の所作や着付けの流れを一つずつ学んでいきました。

最初は戸惑うことも多く、帯の結び方や衿合わせに苦戦する場面もありましたが、それでも毎回のレッスンを大切に、丁寧に向き合われていました。

そして9月。
買い物同行のレッスンで、ついにご自身の着物や帯、小物を一式揃えることに。

「自分の着物を選ぶ」という体験は、思っている以上に特別なものです。
色、柄、格、季節感……ひとつひとつを確認しながら選ぶ時間は、まさに“自分と向き合う時間”。

その日を境に、M子さんの中で何かが大きく変わり始めました。

■ 自分で着て、和髪を結び、いよいよデビューへ

秋が深まる11月。
ついにM子さんは、ご自身で着物を着て、和髪を結い、お出かけデビューを果たします。

それまで「誰かにしてもらうもの」だった着物が、
「自分の手で完成させるもの」へと変わった瞬間でした。

そこからは驚くほどのスピードで、着物が日常に溶け込んでいきます。
今では「今日はどの着物を着ようか」と考えることが楽しみになり、自然と着物を着る機会も増えていきました。

■ 学べば学ぶほど、楽しくなる着物の世界

麗和塾では、着付けだけでなく、座学も大切にしています。
着物の格、TPO、素材、季節感、所作の意味――。

知れば知るほど、着物は「ただ着るもの」ではなく、日本文化が詰まった奥深い世界であることに気づかされます。

M子さんも、学びを重ねるごとに理解が深まり、
「なるほど、そういう意味があったんですね」
「だからこの着方なんですね」
と、目を輝かせながら吸収されていました。

知識が増えるほど着物が楽しくなり、着る回数が増えるほど自信が育っていく。
その好循環の中で、自然と立ち居振る舞いも美しくなり、周囲から褒められることも増えていきました。

■ 写真に映る「自信のある私」

先日行った「美しい写真の撮られ方」のレッスンでは、印象的な変化がありました。

姿勢、視線、手の位置、表情。
ほんの少し意識を変えるだけで、写真に写る印象は驚くほど変わります。

撮影された写真を見た瞬間、そこに写っていたのは――
以前よりもずっと柔らかく、堂々とした笑顔のM子さんでした。

「やってみる」から
「自分でできる」へ。

その変化は、確かな自信となって表情に表れていたのです。

■ 「やって良かった」という言葉の重み

レッスンの終わりに、M子さんがぽつりとおっしゃった一言。

「本当に、やって良かったです。」

その言葉には、努力してきた時間、乗り越えてきた不安、そして今感じている喜びがすべて詰まっていました。

着物を自分で着られるようになったこと。
それ以上に、「自分にもできた」という実感こそが、何よりの財産なのだと思います。

■ 着物は、人生を豊かにしてくれる

着物を学ぶことは、単なる技術習得ではありません。
自分と向き合い、自分を大切にし、自信を育てていく時間です。

一枚の着物が、
立ち姿を変え、
気持ちを変え、
人生の景色までも変えてくれる。

M子さんの歩みは、それを私たちに教えてくれます。

これからも、さらに腕を磨きながら、着物とともに歩んでいかれることでしょう。
その姿を、これからも心から応援していきたいと思います。

着物は、いつからでも始められます。
そして始めたその日から、あなたの人生に静かで確かな変化をもたらしてくれるのです。