「ピンクの着物」が似合う理由と選び方

着物着付け教室福岡  麗和塾  内村 圭です。

「ピンクの着物は何歳まで着られますか?」「あと何年なら大丈夫でしょうか?」──こうしたご質問を、私は本当によくいただきます。着物のお仕立てを依頼される茶道の先生(60代)も、ピンク地の着物に関しては毎回同じ悩みを相談されるとおっしゃいます。どうやら“ピンク=若い人の色”というイメージをお持ちの方は多く、抵抗感を覚える方も少なくないようです。

しかし、一口にピンクと言っても、その幅は驚くほど広いものです。ローズピンク、サーモンピンク、ベビーピンク、ショッキングピンク──まだまだ数え切れないほどのバリエーションがあります。大きく分ければ「青みのあるピンク」と「グレーがかった落ち着いたピンク」に分類できますが、その中から“自分に似合うピンク”は必ず見つかるものです。

「ピンクは私のキャラじゃない」「似合わない気がする」と思っている方は、実は“似合うピンクに出会っていないだけ”なのかもしれません。特に、50代、60代、70代、そして80代でピンクの着物を美しく着こなしている方を見ると、その姿は驚くほど若々しく、上品で、それでいて自然な華やかさに満ちています。年齢を重ねた女性だからこそ、ピンクが奏でる柔らかさや優しさがより一層引き立つのです。

ピンクを身につけることで生まれる効果は、見た目の印象だけに留まりません。

  • 女性らしさがふわりと漂う

  • 若々しさが自然と表れる

  • 優しさや穏やかさが感じられる

  • 肌の色を明るく見せる効果もある

  • 気持ちまで明るく前向きになる

こうした魅力を持つ色は、ピンクをおいて他にそう多くありません。

私自身も若い頃は、ピンクに苦手意識がありました。「好みじゃないし似合わない」と決めつけ、避けるようにしていたのです。しかし40代に差しかかった頃、たまたま手にした淡いピンクの着物を試した際、顔映りの良さに驚きました。肌が明るく見え、健康的な印象さえ加わり、それ以来すっかりピンクが好きな色へと変わっていったのです。今では、くすみを程よく飛ばし、柔らかい表情をつくってくれる大切な色として、日常的に取り入れています。

若い頃に似合わなかった色が、年齢を重ねることでしっくりと馴染むようになる──着物にはそんな不思議な魅力があります。特にピンクは、成熟した大人の女性と抜群の相性の良い色のひとつ。年齢を重ねた肌に寄り添い、優しく光を当ててくれる存在だからです。

だからこそ私は、若い方だけでなく、むしろ大人の女性にこそ積極的にピンクを取り入れていただきたいと思っています。淡い桜色のような優しいピンクも、グレイッシュで落ち着いたピンクも、ローズ系の華やかなピンクも、その方の魅力を引き出す力を秘めています。重要なのは年齢ではなく、“自分に似合う一枚”を選ぶことなのです。

ピンクの着物は、妙齢の女性を美しく輝かせる最強の一枚といっても過言ではありません。鏡の前でぜひ一度、いろいろなピンクを試してみてください。きっと心がふわりと明るくなるような、そんな色に出会えるはずです。そしてその一枚が、あなたの着物時間をより豊かで穏やかなものにしてくれることでしょう。