合理性と再生可能性を兼ね備えた着物の魅力

着付け教室福岡 麗和塾 内村圭です。

 

日本の伝統衣装である和服には、着物、羽織、コート類、長襦袢など、さまざまな種類があります。これらを仕立てる和裁士の技術は、長い歴史の中で受け継がれ、洗練されてきました。和服の最大の特徴は、「直線裁ち」と呼ばれる方法で布地を裁断し、平面的に構成されている点にあります。この技法は、着物が誕生して以来、変わることなく守られてきた基本的な形です。

着物の構造―合理性と無駄のない仕立て

世界中の衣服の中でも、着物ほど簡潔で合理的に作られたものはないと言われています。着物に使用される反物の幅や長さはほぼ一定であり、その範囲内で裁断するため、洋服のように無駄布が生じることがほとんどありません。さらに、一度仕立てた着物も解けば、元の反物の状態に戻すことができるのが特徴です。この仕組みにより、着物は長く大切に着られ、世代を超えて受け継がれる衣服となっています。

 

 

昔から、着物の仕立て方は「四つ四つ二つの経二つ」と表現されてきました。これは、袖四枚、身頃四枚、衿と衽(おくみ)をそれぞれ二枚ずつ裁ち切ることで、寸法が違えど同じ形に仕立てられるという意味です。この伝統的な手法によって、着物は無駄なく美しく仕立てられ、形が変わることなく受け継がれてきました。

着物は再生可能なサステナブルな衣服

現代では、環境問題への意識が高まり、持続可能なファッションが注目されています。着物は、一度仕立てたものを解き、仕立て直すことで、再び新たな形として生まれ変わることができます。そのため、着物はまさにSDGs(持続可能な開発目標)の理念に合致する、環境に優しい衣服と言えるでしょう。さらに、傷んだ部分を部分的に直したり、小物に仕立て直したりすることで、長く愛用することができます。このような工夫が、日本の衣服文化の奥深さを物語っています。

着物の美しさは「着こなし」にあり

洋服の美しさはデザインの変化によって表現されることが多いですが、着物は形そのものに大きな変化がないため、「いかに美しく着こなすか」が重要になります。ただ身に纏うだけでなく、所作やコーディネートによって、着物本来の魅力が引き出されます。

自分に似合う色や柄を選び、帯や小物との組み合わせを工夫することで、着物の楽しみ方は無限に広がります。例えば、季節ごとにふさわしい素材や色を選ぶことで、より洗練された印象を与えることができます。また、立ち居振る舞いにも気を配ることで、着物姿がより一層美しく映えます。

着物は、単なる衣服ではなく、日本の伝統と文化を纏う特別な存在です。私らしい着物の着こなしを見つけ、美しく纏う楽しさを味わってみませんか?