着物とSDGs
着付け教室福岡 麗和塾 内村圭です。
「SDGs(サスティナブル デベロップメント ゴールズ)」は、持続可能な開発目標を掲げた国際的な取り組みであり、この言葉をテレビや新聞などでよく見かけるようになりました。2015年9月に国連で開催されたサミットで採択され、2030年までに達成すべき国際社会の共通の目標として制定されました。この取り組みでは、地球環境や社会、暮らしに関する17のテーマに分類され、それぞれに取り組むべき具体的なゴールが掲げられています。
「着物」に焦点を当てると、SDGsの中で最も該当する領域は「12:つくる責任 つかう責任」であると考えられます。なぜなら、着物は衣類であり、その製造・生産が関与するからです。着物は日本の伝統衣装として古代から受け継がれており、その歴史は長いものです。そして、驚くべきことに、SDGsの理念が存在しなかった昔から着物の扱いは、つくる責任とつかう責任に基づいたものであったと言えます。
着物は、形を変えて長く使えるという特性を持っています。その織りなす美しさと格式は、単なる衣服を超えて歴史や文化を感じさせ、独自の存在感を放っています。この特別な衣装は、単に着るだけでなく、その継ぎ接ぎられた歴史や美意識を共有し、受け継いでいくことで、持続可能な使い方を実現しています。
着物はただのファッションアイテムではなく、繊細な技術や職人の手仕事が結びついて生み出された芸術品でもあります。そのため、無駄にすることなく再利用し、長い間大切に使い続けることができるのです。この考え方は、SDGsの理念とも合致しており、環境にやさしく、持続可能な使い方を追求することが求められています。
着物を通じて、「つくる責任」は製造段階から繊細な技術と素材の選定において表れ、同時に「つかう責任」はその美しさや文化を理解し、大切に使い続けることで形を変えていくのです。これは、着物が持つ価値を最大限に引き出すだけでなく、環境への負荷を減らす一環とも言えます。
そのため、着物を再生可能なアイテムとして捉え、大切に保管し、新しい形で生かしていくことが、SDGsの観点からも望ましい行動と言えるでしょう。これにより、私たちは「もったいない」という感覚を抱かず、最後まで無駄にすることなく、賢く再利用し、環境にも社会にも配慮した行動を実践することができます。
このような持続可能なアプローチは、着物だけでなく、他の製品や生活全般にも適用できる価値観であり、日常の中で実践することで、地球環境や社会の課題に対する一翼を担えるでしょう。そして、それが将来の世代にも続く、より良い未来への一歩となることでしょう。