着物のしつけの役割

 

 

着付け教室福岡 麗和塾 内村圭です。

 

着物のお仕立てで、縫い目や折り目を押さえる「しつけ」が重要です。これには、衣服の形を整える役割や型崩れを防ぐ役割があります。着用する前には通常、「しつけ」を取り除きますが、そのままの状態でも着物が新調されたことや未使用であることを示すしるしとなります。たとえ「しつけ」が美しく施されていても、着用時には礼儀として取り除くのが一般的です。

この「しつけ」には、子供に対する「躾」と通じる部分もあります。家庭でのしつけと同様に、着物にもきちんとした躾が必要です。外出時には、着物の折り目を整えたりすることなく、そのままの状態を見守ることが理想です。

 

 

また、花街の流儀として、初めて着る着物の衿の「しつけ」をお客さまに外してもらう習慣があります。この際、取ったしつけ糸に5円玉を結んで「ご縁がありますように」と願いを込め、衿足に入れることが一般的です。

昔、中洲のお姉さんから、何度か着た着物の衿に「しつけ」をいれることを頼まれたことがありました。きっと何度も初めて気分を楽しまれたのでしょうね。着物にとっても、着る人にとっても、しつけ、仕付け、躾は重要な要素です。