たんすの中から始まる着物再生のコツ

着物着付け教室  麗和塾  内村圭です。

譲り受けた大切な着物を、気づけば「たんすの肥やし」にしてしまってはいませんか。
着物や帯をいただくというのは、本来とても嬉しく、心が弾む出来事です。たとう紙を開いた瞬間、「さあ、この着物をどんなふうに着こなそう」「どこへ着て行こうか」と、胸が高鳴り、自然と笑顔になる方も多いことでしょう。

実際、着物をいただいたことをきっかけに、着物そのものに興味を持ち始める方は少なくありません。着物を着て出かけるようになると、不思議なことに同じように着物に関心を持つ方々が自然と集まり、会話が生まれ、新たなご縁が広がっていくこともよくあります。着物には、人と人を結びつける不思議な力があるのだと、改めて感じさせられます。

しかし一方で、「素敵だとは思うけれど、どうしても着られない着物」が手元に残ってしまうこともあるのではないでしょうか。
身丈が短い、裄が合わない、袖丈が長すぎる。あるいは、シミや汚れ、ほつれが目立つ、防虫剤の香りが強く残っている――。こうした理由から、せっかくの着物を前にしても、ためらいを感じてしまうことは決して珍しいことではありません。

古い着物には、現代のものにはない上質な生地や丁寧な手仕事が施されているものも多くあります。それでも、そのままの状態では着ることが難しい場合もありますし、色柄や雰囲気がご自身の好みと少し違うと感じることもあるでしょう。さらに、昔の方と現代の私たちとでは、身長や体型、裄の長さも大きく異なります。洋服であれば、サイズが合わなければ諦めてしまうところですが、着物には「お直し」という大きな可能性が残されています。

着物のお仕立て直しは、新しく一枚を購入するよりも、はるかに負担が少なく、自分の体に合った着物へと生まれ変わらせることができます。必要最小限しか布に手を入れない、着物ならではの仕立ての技法によって、元の着物の良さを活かしながら、今の自分にふさわしい一枚に整えることができるのです。これは、着物文化が長い年月の中で育んできた、実に合理的で美しい知恵と言えるでしょう。

また、実際に着る際の工夫によって、多少のサイズの違いや雰囲気の違いをカバーできる場合もあります。帯合わせや小物使い、着付けの工夫次第で、印象は大きく変わります。私自身も、試行錯誤を重ねながら、いわば「あの手この手」で着物と向き合ってきた一人です。趣味や好みの違いはコーディネートで補い、それでも難しい場合には、思い切ってコートや羽織など、別の形に仕立て替えるという選択肢もあります。

もし、譲り受けた着物が、サイズも好みも驚くほどぴったりだったとしたら――それはもう、たんすの奥に眠らせておく理由はありません。誰かの思いが込められたその一枚は、今のあなたに袖を通してもらうことを、きっと待っています。

着物は、着てこそ輝きます。手元にある着物を改めて見直し、その可能性に目を向けてみてください。たんすの中に眠る一枚が、再び日常を彩る存在としてよみがえるとき、着物との関係も、きっと新しいものへと変わっていくはずです。どうか、お手元の着物を大切に活かし、ご自身らしい着物時間を楽しんでくださいね。