着物で外出するときの視線が気になる方へ
着物着付け教室福岡 麗和塾 内村圭です。
着物を着てお出かけをするとき、最初のうちはどうしても周囲の視線が気になるものです。普段は洋服で過ごすことが多い現代社会において、街中で着物姿の方はやはり目を引く存在です。そのため「見られているかもしれない」という意識から、少し緊張したり落ち着かない気持ちになったりすることはごく自然なことです。
けれども、そうした視線の理由をよく考えてみると、それが必ずしも「否定的な意味」ではないことに気づかされます。
視線の理由はさまざま
着物姿を見ている人の中には、単純に「素敵だな」と思って見ている方もいれば、「珍しいから気になる」という理由で見ている方もいます。つまり、視線の理由は多様であり、そこに必ずしも悪意や否定的な感情があるとは限らないのです。
それにもかかわらず「私、変に見えていないかな」「着こなしがおかしいのかも」と不安になってしまうのは、私たち自身の心の受け止め方に原因があります。実際に、私自身も昔は振り返られるたびに「どこか変だったのかもしれない」と心配になった経験があります。しかし、時間が経ち、さまざまな場面で着物を着て過ごすうちに、少しずつ気にしすぎない心持ちを育てることができました。
人の評価は曖昧なもの
他人の視線や評価というものは、とても曖昧で変わりやすいものです。見る人の気分や置かれた状況によっても左右されますし、同じ装いであっても、ある人には「とても素敵」と思われ、別の人には「少し派手かな」と思われることもあります。つまり、完全に万人に好かれる装いをすることは不可能なのです。
そのため、他人の目を気にしすぎてしまうと、自分の選択や行動がすべて他人に振り回されてしまい、せっかくの着物時間が窮屈で楽しくないものになってしまいます。
「人の目が気になる」と思うとつい避けてしまいたくなりますが、実はそこにこそ大きな成長の機会があります。思い切って「見られる」ことに挑戦してみるのです。
最初は緊張するかもしれません。しかし、二度三度と経験を重ねるうちに、不思議と慣れてきます。やがて「視線を浴びること」そのものが特別なことではなくなり、「着物を着て外に出る」ことが日常の一部となっていくでしょう。
挑戦がなければ、新しい気づきや自信を得ることもできません。視線を受けることをあえて「自分の着物姿を楽しんでもらえている」と前向きに捉えてみることで、気持ちもぐっと軽くなるはずです。
最終的に大切なのは、他人の評価や視線ではなく、自分自身の気持ちです。
「今日はこの着物を着たい」
「この帯との組み合わせが気に入っている」
「お気に入りの着姿で出かけたい」
そのような自分の思いを優先して行動できるようになれば、他人の目はそれほど気にならなくなります。曖昧で変わりやすい他人の視線よりも、自分の気持ちを大切にすることこそ、着物を楽しむ上で一番大事な心構えではないでしょうか。
着物を着て外出するとき、人の目が気になるのは自然なことです。しかし、その視線は必ずしも否定的な意味を持つものではなく、多くの場合「素敵だな」「珍しいな」という好意的な気持ちから生まれています。
人の評価は曖昧で移ろいやすいものですから、必要以上に気にする必要はありません。むしろ「見られる」ことを経験として受け入れ、そこから自信を育てていくことが大切です。
二度三度と繰り返すうちに不思議と慣れ、着物でのお出かけが自然な日常となっていきます。そして何よりも大切なのは、自分の気持ちを優先して楽しむこと。着物を着たいと思った自分の心を尊重することで、他人の視線に振り回されることなく、自分らしい着物時間を心から堪能できるようになるでしょう。