着物整理のすすめと活用法

着物整理のすすめと活用法

 

福岡 着物着付け教室 麗和塾 内村圭です。

 

少し前、着物の整理のご用命がありました。以前のタンス整理では、お手持ちの着物のコーディネートを中心に進めましたが、今回は異なり、必要なものと不要なものを区別し、着物の活用方法を再考することが主な目的でした。お客様のお手持ちの着物は、譲り受けたものも多く、保有している数も豊富でしたが、整理をすることでどのように活かせるか、より明確にする作業です。

着物の分類方法

まず最初に、お持ちの着物をいくつかのカテゴリに分けるところから始めました。

  1. そのまま着用できる着物
    現在の状態で特に修繕が必要なく、すぐに着用可能な着物。このような着物は、普段のコーディネートや特別な場面でも活躍できるため、最も活用しやすいものです。
  2. お直ししてでも着たい着物
    やや傷んでいる部分があるものの、お直しすれば着用可能で、特に思い入れのある着物。このような着物は、費用がかかっても修繕の価値があるため、相談しながらお直しを検討しました。着物の”お直し”や”仕立て”、”仕立て替え”は、「着物のお仕立て処うちむら」でいたします。
  3. 仕立て替え可能な着物
    デザインやサイズが合わない着物でも、生地がしっかりしていれば、現代風に仕立て直すことで再び活用することができます。これに該当する着物も、お引き受けして仕立て直しを行うことが可能です。
  4. 思い切って処分する着物
    劣化が進んでいたり、今後使用する予定が全くない着物は、譲ったり思い切って手放すことも選択肢です。大切にしてきたものだからこそ、処分を決めるのは難しいですが、整理を通じて新たなスペースと心の余裕が生まれることも事実です。

 

譲り受けた着物とその価値

お客様のケースでは、周囲の方々から多くの着物を譲り受けていました。譲られた着物の中には、素敵な柄や高価なものが含まれており、一見羨ましい状況でした。しかし、数が多いことでかえって整理が難しくなり、保管場所にも困っている状態。こうした場合、譲られた着物をしっかりと評価し、どれが実際に着用できるものかを見極めることが重要です。

譲られた着物は、誰かの大切な思い出が詰まっていることが多く、感情的に処分をためらう方も少なくありません。しかし、整理することで、その着物の価値を再発見し、どう活かすかを考える良い機会となります。

着物整理の進め方

今回の整理では、一着一着について着物の状態や将来の活用法を話し合いながら進めました。お客様にとっては、自分では判断がつかず、なかなか手を付けられなかった着物も多かったようです。しかし、一緒に整理を行うことで、着物の状態や活用方法についての理解が深まり、スッキリとした気持ちで整理を完了することができました。

また、着物に関する知識が増えることで、着物に対する考え方や見方が変わり、自分にとってどのような価値があるのかを再認識するきっかけとなりました。実際に整理後、お客様からは「母や伯母の着物と認識していたものが、自分の着物という意識に変わった」という感想をいただきました。

着物整理を後回しにしてしまう理由

多くの方が、「着物の整理をしなければ」と考えているものの、実際には手を付けられずに放置してしまうことがよくあります。特に、「開かずのタンス」として着物を長い間そのままにしてしまい、どの着物がどのような状態にあるのかすら把握していない方も少なくありません。着物は特別な存在であるため、なかなか手放す決断ができないことも理由の一つです。

整理のメリット

しかし、実際に整理を始めると、以下のようなメリットが得られます。

  • 精神的なスッキリ感
    長年ため込んでいた着物を整理することで、気持ちが軽くなり、新たな視点で物事を考えられるようになります。
  • スペースの確保
    着物は場所を取るため、不要なものを処分することで、収納スペースを有効に使えるようになります。
  • 活用方法の見直し
    整理を通じて、今後どのように着物を活かすかを考えることができ、日常生活や特別な場面での着物の活用が広がります。

着物整理の第一歩

もし、着物の整理に悩んでいる方がいるならば、まずは一度手を付けてみることをおすすめします。一人で難しい場合は、専門家に相談することも一つの方法です。着物の整理は、ただ不要なものを処分するだけでなく、今後どのように着物を楽しみ、活かすかを考える大切な作業です。

整理が終われば、これまで手を付けられなかった着物に対する新たな楽しみ方が見つかり、タンスの中も、心の中もスッキリと整理された状態で新たな生活が始まります。