「今」を生きることが未来をつくるということ
着物着付け教室福岡 麗和塾 内村圭です。
「一年の経過の早さは、年齢に比例して加速する」といわれています。これは心理学で知られる「ジャネーの法則」と呼ばれる考え方で、同じ一年という時間であっても、幼少期にはとても長く感じられ、年齢を重ねるごとに、驚くほど短く感じるようになるというものです。
たとえば、一歳のときの一年は、人生そのもののすべて、つまり「一分の一」にあたります。しかし十五歳のときの一年は「十五分の一」、三十歳では「三十分の一」、五十歳では「五十分の一」、八十歳になると「八十分の一」となります。このように、年齢を重ねるにつれて、私たちが体感する一年という時間は、相対的にどんどん短くなっていくのです。

だからこそ、大人になるほど「もう一年が終わったの?」と感じやすくなり、「ついこの前お正月だった気がするのに、もう年末」という感覚に陥ることも珍しくありません。これは決して気のせいではなく、人間の時間感覚そのものが、年齢とともに変化している証なのです。
このように考えると、私たちにとって最も大切なのは、「時間をどう感じるか」よりも、「時間をどう使うか」なのではないでしょうか。過去はどれほど振り返っても変えることはできませんし、未来はまだ訪れていない不確かなものです。しかし、「今この瞬間」だけは、私たち自身が意識し、行動し、選択することで、直接影響を与えられる唯一の時間です。
時間の捉え方には、「過去・現在・未来」という三つの視点があります。過去は経験として蓄積され、現在はその延長線上にあり、未来は現在の積み重ねによって形づくられていきます。つまり、未来を変えたいと思うなら、過去を悔やむよりも、まずは「今」をどう生きるかを見つめ直すことが何よりも大切なのです。
「いつかやりたい」「そのうち始めたい」「時間ができたら挑戦しよう」――私たちはつい、このような言葉を口にしてしまいがちです。しかし、ジャネーの法則を思い出すと分かるように、体感時間は年々短くなっていき、「そのうち」は驚くほど早く過ぎ去ってしまいます。気づいたときには、「やろうと思っていたけれど、結局何も始めなかった」という状態になってしまうことも少なくありません。
だからこそ、「やりたい」「こうなりたい」と思ったことがあるなら、できるだけ早く、小さな一歩でも良いので行動に移すことが大切です。完璧に準備が整うのを待つ必要はありません。むしろ、完璧なタイミングなど一生訪れないことの方が多いのです。大切なのは、「今の自分にできる範囲で始めること」。その積み重ねが、未来の自分をつくっていきます。
一年は、本当にあっという間です。年初に立てた目標を振り返ったとき、「思っていたより何も変わっていない」と感じた経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。しかしそれは、自分を責めるための材料ではなく、「これからどう生きるか」を考えるためのヒントでもあります。
たとえば、「今年こそ着物を気軽に着て楽しみたい」と思っている方がいるとします。その気持ちを抱いたまま何も行動しなければ、一年後もきっと同じことを思っているでしょう。しかし、ほんの少し勇気を出して、まずは一度着てみる、教室を調べてみる、イベントに参加してみる――そんな小さな行動を起こすだけで、時間の流れの中身は大きく変わります。
時間は誰にとっても平等に流れています。しかし、その「中身の濃さ」は、人それぞれです。何もせずに過ごした一年と、意識的に行動した一年とでは、同じ十二か月でも、心に残る充実感はまったく違います。
ジャネーの法則が教えてくれるのは、「時間はどんどん短く感じられるようになる」という事実であると同時に、「だからこそ、今を大切に生きなさい」という静かなメッセージなのかもしれません。未来を変えられるのは、いつだって「今この瞬間」の選択と行動です。時間が早く過ぎていくと感じる今だからこそ、意識的に「今」を生きることが、人生をより豊かにしてくれるのだと思います。


