着物に集まる視線を魅力に変える

着物着付け教室福岡 麗和塾  内村圭です。

着物で外出すると、ふとした瞬間に声を掛けられたり、振り返って見られたりすることが少なくありません。現代の日常において着物姿はまだ珍しく、人の目を引く存在であるため、自然と視線が集まるのでしょう。そのような経験は、着物をお召しになる方であれば、一度は感じたことがあるのではないでしょうか。

しかし、こうした視線をどのように受け止めるかは、人それぞれの心の在り方によって異なります。私自身、若い頃にはすれ違いざまに見られたり、バスを待つ間に車内の方々の視線を感じたりすると、「どこかおかしいのではないか」「何か変に見えているのではないか」と不安になることもありました。けれども、着物に親しむ時間を重ねる中で、次第にそのような感覚にも慣れ、今では落ち着いて受け止められるようになりました。

むしろ現在では、せっかく着物を着るのであれば、より良い印象で見ていただけるよう心がけたいと感じています。そのために欠かせないのが、立ち居振る舞いの美しさです。洋服で過ごしているときには気にならなかった動作や姿勢も、着物を身にまとった瞬間に、より際立って見えるようになります。だからこそ、年齢を重ねるほどに、その場にふさわしい所作を身につけたいという思いが自然と芽生えてくるのではないでしょうか。

実際に、「年齢相応に恥ずかしくない振る舞いを身につけたい」「けれども茶道や礼法の教室に通うのは難しい」といったお声を、これまで多くの方からいただいてまいりました。そうしたご要望にお応えするかたちで、着物着付け教室「麗和塾」では、和室での立ち居振る舞いと和食の作法に分けた講座をご用意しております。日常の延長として無理なく取り入れられる内容を大切にしながら、実践的に学んでいただける場を目指しております。

中でも印象的なのは、「和室での立ち座りをスマートに行えるようになりたい」と以前から強く望まれていた生徒様のお姿です。その方は、動作を身体でしっかりと覚えるまで何度も繰り返し練習されており、「膝の上の筋肉が痛くなりました」と笑顔でお話しくださいました。その真摯なお姿からは、美しくありたいという前向きな気持ちと、努力を惜しまない姿勢が伝わってまいります。

着物での立ち居振る舞いは、普段の生活ではあまり使わない筋肉を意識的に使うことが多く、最初は戸惑いや負担を感じることもあるかもしれません。しかし、そのひとつひとつの動作に意識を向けるだけで、見た目の印象は驚くほど変わってまいります。姿勢が整い、動きに無駄がなくなることで、自然と落ち着きと品格が感じられるようになるのです。

私自身、日頃は特別に運動をする習慣があるわけではありませんが、着物を着るときには腹筋を意識し、姿勢を正しく保つよう心がけています。それだけでも身体の使い方に変化が生まれ、立ち姿や歩き方に違いが現れてくるのを実感します。

このように、着物を通して自分自身を磨いていく過程は、「自己研鑽」や「生涯学習」とも通じるものがあるのではないでしょうか。脳は年齢に関わらず成長し続けると言われており、新しいことを学び、取り入れていく姿勢こそが、若々しさを保つ秘訣のひとつであると感じています。

着物は、単に装いとしての美しさだけでなく、内面からにじみ出る所作の美しさをも引き立ててくれる存在です。その魅力をより深く味わうためにも、立ち居振る舞いを丁寧に整えていくことは、大きな意味を持つのではないでしょうか。

これからも、美しい着物姿と、それをより一層引き立てる所作の両方を大切にしながら、自分自身を高めていく歩みを続けていきたいものです。そしてその積み重ねが、日常の中に静かな自信と喜びをもたらしてくれることを、心より願っております。