「着物美人」は土台から

着付け教室福岡  麗和塾  内村圭です。

着物を着るときに気になることや、着心地の違和感を感じた経験はありませんか?
特に多くの方からご相談いただくお悩みには、次のようなものが挙げられます。

  • 衿元が崩れてしまう

  • 衣紋が詰まって苦しそうに見える

  • 帯が落ち着かず、何度も直したくなる

  • 着物や長襦袢にシワが入ってしまい、だらしなく見える

こうしたお悩みを抱えている方に、ぜひ見直していただきたいのが「補整(ほせい)」です。

もちろん、着付けそのものの技術も大切ですが、実は補整の工夫次第で、これらの悩みの多くは解消できるのです。
着物は“重ね着”の文化。外側の着物だけでなく、内側の補整や長襦袢が美しい着姿を支える「土台」となっています。この土台が整っていなければ、どんなに高価で上質な着物を着ても、思ったような美しさは実現しません。

着姿の要は「土台作り」

美しい着姿をつくるには、補整と長襦袢がしっかりと身体に合っていることが大切です。
土台が整えば、着物が自然に身体に沿い、シワやたるみが少なくなります。逆に、土台が不安定なままでは、着物がズレたり崩れたりしやすくなってしまうのです。

たとえば、胸元の補整が不十分だと、衿元が浮いてしまったり、衣紋が詰まって苦しげに見える原因になります。
また、腰回りの凹凸がそのままだと帯が安定せず、位置がズレたり、前後で高さが合わなかったりすることも。

補整の目的は、身体の「足りない部分」をふんわりと補い、着物が身体にきれいに沿うようにすること。決して、「太って見せる」ためではありません。
補整と聞くと、「太って見えるからイヤ」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、本来の補整は、“自然なラインに整える”ことを目的としているのです。

自分の体型を知ることが第一歩

では、どうすれば自分に合った補整ができるのでしょうか?

それはまず、「自分の体型を正しく知ること」から始まります。
人は誰しも、得意なラインと不得意なラインがあります。胸元がしっかりしている方、ウエストが細くて帯が安定しにくい方、ヒップが高めな方など、体型の特徴は実にさまざまです。

自分の体型を直視するのは勇気がいることかもしれませんが、美しい着物姿のためには欠かせないプロセスです。

「肉襦袢があるから大丈夫」と思っていても、それが着姿に悪影響を及ぼしていることもあります。むしろ、体型にフィットした補整の方が、スッキリ見えて全体のバランスも整います。

補整は、「足りないところを足す」だけ。
無理にボリュームを増やす必要はありません。大切なのは、「自分の体型に必要な補整を、必要な分だけ取り入れる」という視点です。

長襦袢の着付けも見直してみて

また、補整と同じくらい重要なのが長襦袢の着方です。
長襦袢は着物の直下に着るものですので、着方が甘いと、着物がずれて見えたり、シワが出やすくなったりします。

長襦袢の衣紋の抜き加減や衿の角度は、補整と連動して調整するとより美しい着姿になります。
長襦袢がぴったり身体に沿っていてこそ、上に着る着物も美しく馴染むのです。

着物を「着物姿」へと昇華させるために

私たちが目指すのは、単に「素敵な着物を着ているね」と言われることではありません。
「その着物姿、素敵ですね」と、装い全体の佇まいを褒めてもらえるような着姿を目指したいのです。

それは、着物そのものよりも、着こなし方やその人の持つ雰囲気まで含めて“美しい”と感じてもらえるということ。
そのためには、内側の土台作り=補整をきちんと整えることが何より大切です。

着物を装う楽しさは、外見だけでなく、自分を見つめ直すきっかけにもなります。
補整を見直し、自分の体に合った着方を知ることで、今まで以上に着物を着ることが楽しくなるはずです。

最後に──きれいな着物姿でお出かけを

着物でのお出かけは、特別な時間です。
その時間を、より自信を持って楽しむために。
美しい着姿で周囲からも「素敵ですね」と声をかけられるように。

ぜひ、ご自身の補整を一度見直してみてください。
補整が整えば、着物がもっとあなたに馴染み、きれいな着姿が手に入ります。
そして何より、自分自身が心地よく過ごせることこそが、着物を着る醍醐味ではないでしょうか。

“着物を褒められる”のではなく、“着物姿を褒められる”
そんな装いを、今日から目指してみませんか?

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