折り目正しい着物のたたみ方

着付け教室福岡 麗和塾 内村圭です。

 

着物をお預かりすると、時折その畳み方が誤っていることに気づくことがあります。長年、正しい畳み方がわからないまま収納されていた着物には、深い折りぐせがついてしまい、これがなかなか取れないこともしばしばです。このような状態は、着物の美しさや保存状態に悪影響を及ぼしてしまいます。

 

 

 

 

着物は「直線裁ち」「直線縫い」という特性を持つため、平らに畳むことが可能です。この構造のおかげで、収納や持ち運びが非常に簡単であると同時に、無駄な畳みじわを防ぐことができます。美しさだけでなく、機能性にも優れた日本伝統の衣装ならではの特徴です。

正しい畳み方を守ることは、着物を大切に扱う心の表れでもあります。たとえば、背縫いや脇縫い、肩山や袖山の山折り、衿付けや袵(おくみ)の谷折りといった、着物の折り目に沿った畳み方をすることで、保管時の状態が整い、いざ着る際も安心して使用できます。

「折り目正しい」という言葉には、「礼儀正しくきちんとした振る舞い」を表す意味があります。この言葉が示すように、正しい畳み方は単なる作業ではなく、着物への敬意や丁寧な心遣いを込める大切な行為です。着物を正しく畳むことで、美しい状態を保ちつつ、いつでも気持ちよく袖を通すことができる準備が整います。

また、正しく畳むことは折り目を守るだけでなく、着物の形状や素材への負担を軽減する役割も果たします。これにより、着物が長持ちし、次の世代へと受け継ぐことも可能になるのです。

着物の畳み方は、その人の着物に対する愛情や丁寧さを表す重要な所作です。「折り目正しく、美しく」畳むことで、着物を長く楽しむことができるとともに、日本文化の奥深さをより一層感じることができます。

正しい方法で畳み、適切に収納することで、着物はいつでも美しい状態を保ち、必要なときにすぐに着ることができます。着物を愛する心を込めて、一つひとつの折り目を丁寧に整える習慣をぜひ身につけてみてはいかがでしょうか。