着物で自己肯定感を育む

着物着付け教室福岡  麗和塾  内村圭です。

美しく着物を着ることができたとき、私たちの心には自然と晴れやかな気持ちが広がります。
鏡に映る整った着姿に満足し、思わず微笑んでしまう。そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

着物は、単なる衣服ではなく、心のあり方や日々の過ごし方にまで影響を与えてくれる力を持った存在です。
今回は、「きれいに着物を着られるようになること」が、私たちの心身にどのような変化や豊かさをもたらすのかを丁寧に紐解いていきたいと思います。

■ 「きれいに着る」ことで得られる心の満足

 

◎ 満足感で心が満たされる

着付けが思い通りに仕上がり、裾線やおはしょりが整った姿を見ると、言葉にできない充実感が生まれます。「今日もちゃんとできた」という達成感は、自分に対する信頼と自信へとつながります。

◎ ストレスが激減

逆に、着付けがうまくいかない日は、帯が緩んだり、襟元が崩れたりと、外出先で気がかりが尽きません。その点、安定して着こなせるようになると、“気になる”ことが減り、心に余裕が生まれるのです。

◎ イライラしなくなる

時間が押して焦ったり、うまく着られずイライラしたりという場面も、技術が身に付くことで次第に減っていきます。結果として、落ち着いた気持ちで1日を過ごせるようになります。

◎ 穏やかな性格になる

着物をきれいに着ていると、自然と所作も丁寧になります。姿勢が整い、動作が静かになることで、気持ちまでおだやかに変化するのです。

◎ 女性であることに喜びを感じる

着物という装いは、女性らしさや繊細な美意識を映し出してくれます。鏡の中にいる自分に「女性であることの幸せ」を感じる時間は、日々の活力を与えてくれるでしょう。

■ 心と体に寄り添う装いとしての着物

現代の女性は、社会的な役割の多様化にともない、忙しさやストレスを抱えがちです。
加えて、女性にはホルモンバランスの変化や体調の波といった「バイオリズムの揺らぎ」があります。その影響で、心身ともに不安定になることも少なくありません。

そんなときこそ大切なのは、「いかに自分の心を養うか」という視点です。

着物は、そんな日々のゆらぎにそっと寄り添ってくれる存在です。
丁寧に身支度をし、きれいに装い、ゆったりとした時間を過ごすこと。それは、自分のために時間を使うという“心の贅沢”とも言えるでしょう。

■ 着物を通して得られる“自己肯定感”

着物をきれいに着られるようになる過程には、小さな積み重ねがあります。
最初は襟元の形が決まらなかったり、帯結びに手間取ったり、さまざまな壁にぶつかりますが、それでも少しずつ工夫を重ね、自分の体に合った着方が見つかると、それが自信となります。

この「できるようになった」という感覚は、自己肯定感を高める大きな鍵になります。

日々の中で「自分にはできないことがある」と感じると、心が曇ってしまいがちですが、
「自分の力で整えられる」「自分を美しく保てる」という事実が、私たちの心を強くし、前向きな気持ちへと導いてくれるのです。

■ 着物の時間は、自分を大切にする“心の栄養”

着物を着る時間には、「手間」という感覚と同時に、「丁寧に自分を扱う喜び」が含まれています。
ヘアスタイルやメイク、着付けに気を配り、足袋を履き、帯を締める──この一連の所作は、すべて“自分に心をかける行為”です。

日常の中で、自分のために時間を取ることは、決してわがままなことではありません。
むしろ、忙しさの中で心がすり減ってしまいそうなときほど、こうした時間こそが、心の潤いとなるのです。

■ 着物がもたらす「穏やかな心」の習慣化

美しい着姿を目指すうちに、着物はただの衣服ではなく、暮らしの一部になっていきます。
繰り返し着物を着ることで得られる「安定した安心感」は、日々の心持ちを整える助けになります。

季節ごとに変わる素材や柄、色の組み合わせを楽しむことも、感性を磨くひとつの方法です。
自然の移ろいを感じながら、自分に合う色や装いを選ぶ時間は、内面を豊かに育てる習慣にもなっていくでしょう。

■ 最後に──心と体をいたわる、装いの選択を

私たちは、毎日の忙しさの中でつい自分の心身の状態を後回しにしてしまいがちです。
けれど、自分の調子を整えるための時間や、心を癒す習慣は、どんな時代にも必要とされています。

着物をきれいに着られるようになることは、自分に手間をかけ、心を整える“自分育て”のようなものです。
その過程で得られる満足感、落ち着き、自信、そして女性であることへの喜びは、何にも代えがたい宝物となって、私たちの毎日を彩ってくれることでしょう。

どうかご自身の心と体をいたわる選択肢のひとつとして、着物という装いを取り入れてみてください。
その先には、穏やかで満ち足りた日々が、あなたを待っているかもしれません。