着物が教えてくれる新しい自分との出会い

着物着付け教室福岡  麗和塾  内村圭です。

 

「これは私らしくない。」「そんなことをするのは自分のキャラじゃない。」

私たちは普段、何気なくそんな言葉を口にしているのではないでしょうか。また、自分ではそう思っていなくても、周囲から「あなたはこういう人だよね」と言われ、そのイメージに合わせて振る舞っていることも少なくありません。

実は、多くの人が知らず知らずのうちに、自分自身に「キャラクター」を設定し、その枠の中で生きているように感じます。

私の息子も時々、「それは自分のキャラじゃないから」と言うことがあります。きっと、それは息子だけではなく、多くの方が一度は感じたことのある思いでしょう。

もちろん、人との関わりの中である程度の「自分のキャラ」を持つことは大切です。社会生活を送るうえで、自分の立ち位置や役割を理解し、その場に応じて振る舞うことは円滑な人間関係にもつながります。

 

 

 

 

しかし、その「キャラ」に縛られすぎてしまうと、自分の可能性を狭めてしまうこともあるのではないでしょうか。

本当はやってみたいことがあるのに、「私らしくないから」と諦めてしまう。本当は着てみたい服や挑戦してみたいことがあるのに、「周りから変に思われるかもしれない」と一歩を踏み出せない。

それは、とてももったいないことのように思います。

なぜなら、人は一つの顔だけでできているわけではないからです。

優しい一面もあれば、情熱的な一面もあります。慎重な部分もあれば、思い切って行動できる部分もあります。

その時々の環境や年齢、経験によって、自分の中にあるさまざまな魅力が少しずつ表に現れてくるのです。

それなのに、「私はこういう人だから」と自分で枠を作り、その中に収まろうとしてしまうのは、自分自身の可能性を閉じ込めてしまうことにもなりかねません。

特に「キャラじゃない自分」を見せることには、少なからず勇気が必要です。

今まで見せたことのない自分を表現することは、どこか自分をさらけ出すようで恥ずかしく、少し怖さもあります。

周りからどう思われるだろう。

似合わないと思われないだろうか。

そんな気持ちが生まれるのも自然なことです。

けれど、その一歩先にこそ、本当の「自分らしさ」があるのではないかと思うのです。

自分らしさとは、決して一つの型にはまることではありません。

むしろ、さまざまな自分を受け入れ、その幅を広げていくことなのではないでしょうか。

「こんな自分もいたんだ。」

「こんなことが好きだったんだ。」

そんな新しい発見を重ねることで、人はより豊かになり、自分自身をもっと好きになれるのだと思います。

私は、できることなら人が決めたイメージの中だけに収まって、小さくまとまってしまうのはもったいないと感じています。

せっかく与えられた人生です。

まだ知らない自分や、新しい可能性に出会う楽しみを味わっていただきたいと思うのです。

そして、そのきっかけの一つになってくれるのが「着物」だと私は感じています。

私が着物を好きな理由の一つに、「いつもとは違う自分になれる」ということがあります。

洋服の時の自分と、着物を着た時の自分では、気持ちも所作も少し変わります。

背筋が伸び、歩き方が変わり、自然と丁寧な振る舞いになります。

そして何より、自分の中に眠っていた新しい魅力に気づかせてくれるのです。

着物には、その日の気分や選ぶ色柄によって、さまざまな自分を演出できる楽しさがあります。

落ち着いた色合いでしっとりとした雰囲気を楽しむ日もあれば、華やかな帯や小物で明るく軽やかな自分を表現する日もあります。

同じ人であっても、組み合わせによってまったく違う印象を生み出すことができるのです。

それこそが「着物で魅せる」ということなのだと思います。

そして、私たちの印象を決めるのは、最終的には自分ではなく他人です。

だからこそ、人から与えられたイメージだけに従って生きるのではなく、「私はこんな自分になりたい」「こんなふうに見せたい」という思いを大切にしてほしいのです。

自分の人生の主役は自分です。

誰かが決めたキャラクターに合わせて生きる必要はありません。

なりたい自分、見せたい自分を自分自身で選び、表現していく。

それは、自分を大切にすることにもつながります。

着物は、そのための素晴らしい道具になってくれます。

これまで着たことのない色に挑戦してみる。

いつもとは違う帯を合わせてみる。

少し華やかな装いを楽しんでみる。

そんな小さな挑戦の積み重ねが、「こんな自分も素敵かもしれない」という新しい発見につながっていくのです。

年齢を重ねるほど、「今さら無理」「私には似合わない」と、自分で限界を決めてしまいがちです。

けれど、本当は何歳になっても、新しい自分に出会うことはできます。

むしろ人生経験を重ねているからこそ、表現できる魅力や深みがあるのではないでしょうか。

着物は、そんな眠っていた魅力をそっと引き出し、新しい一面を見せてくれます。

「私って、こんな色も似合うんだ。」

「こんな雰囲気も素敵なんだ。」

そう感じた瞬間、自分の世界は少し広がります。

そして、その小さな変化が、自信となり、毎日をより豊かなものへと変えてくれるのです。

どうか「キャラじゃないから」と、自分の可能性に蓋をしないでください。

あなたの中には、まだ出会っていない素敵な自分がたくさん眠っています。

着物は、その新しい自分に出会うための扉を、そっと開いてくれる存在です。

いつもと違う自分を楽しむこと。

自分の可能性を信じてみること。

その先には、今まで知らなかった「本当の自分らしさ」がきっと待っていることでしょう。