着物の合理的な理由

着付け教室福岡 麗和塾 内村圭です。

 

私は着物のお仕立てや着付けの仕事をしており、その中でたびたび感じることがあります。それは、着物は合理的であるということです。一枚の長い布からできる着物は、直線裁ちで最小限のハサミしか使いません。そのため、解いて着物を着る、着物の寸法を替える(袷から単衣へ、単衣から袷へ)、着物をコートや羽織に仕立て替えるなどの様々な変化が可能です。

身丈が少し足りない場合は、腰紐を締める位置を変えるだけで着られるし、逆に身丈が長い場合は、帯の中に部分的に入れ込んで着用することもできます。また、身幅に関しても、着付け方で多少の太りや痩せを調整することができます。そのため、「着物は風呂敷」と言われるほど、柔軟な着付けが可能なのです。

 

 

普段着物を着ない友人たちと話すと、卒業式や入学式などの特別な場面で着る服について話すことが多いです。彼女たちは、古くなったスーツや入らなくなったスカートについて不満を述べたり、新しいスーツを買うと靴やバッグまで揃えなければならず出費がかさんだりすると言います。しかし、着物は帯や小物、衿元を変えるだけで全く違った印象になるので、同じ着物でも卒業式から入学式まで着用することができ、大変便利です。

実際に嫁入りの際にもらった着物を着たいという希望や、譲り受けた着物を着たいという声が多いです。現在は、リサイクル着物のお店も増えてきており、洋服を揃えるよりも手頃な価格で購入することができます。また、組み合わせ次第で長く着用することもできるため、着物は合理的でコストパフォーマンスが良いと言えます。

捉え方を変えれば、「わざわざ着物」という感覚から「やっぱり着物」という感覚に変わるかもしれません。着物にはたくさんの魅力がありますし、その利便性も大きな魅力の一つです。