着物と履物の大切な関係

着付け教室福岡 麗和塾 内村圭です。

 

古くから、「足元を見る」や「地に足がついた人」という言葉があるように、足元はその人の人格や姿勢を表す重要な要素とされてきました。いくら髪型や服装が完璧であっても、履物が整っていなければ全体の印象を損ねてしまうことがあります。

特に和装においては、足元の美しさが装いの完成度を左右するといっても過言ではありません。草履や下駄といった和の履物は、着物の格式やTPOに合わせるだけでなく、履き心地や状態にも気を配ることが大切です。

 

 

履物の状態をチェックする大切さ

和装の履物は、見た目以上に劣化しやすいものです。出かける前には、草履や下駄の状態を確認する習慣をつけましょう。

過去には、着物で歩いている最中に草履の底が剥がれ、地面に置き去りにされてしまうという衝撃的な場面を目にしたこともあります。普段は気にならなくても、いざというときにトラブルが起こらないよう、事前のチェックを怠らないことが大切です。

また、履物は地面に直接触れるため、汚れやすい部分でもあります。「汚れやすい部分がきれいに保たれている人は、きちんとしている人」「目が行きにくい足元まで気を配れる人は、できる人」といった印象を与えることも少なくありません。和装に限らず、足元の清潔感は身だしなみの基本ともいえるでしょう。

履物と着物の調和が生む洗練された装い

ファッションの世界には、「足元のバランスを意識しなければ、おしゃれは完成しない」という大原則があります。これは和装にも通じる考え方です。

履物は、フォーマルとカジュアルのバランスを取る重要なアイテムでもあります。例えば、格式の高い場面では漆塗りの草履や織りの鼻緒を選ぶ一方で、カジュアルなお出かけには、軽やかな素材のものを選ぶことで、全体のコーディネートが引き締まります。

また、履物の色やデザインが着物と調和しているかどうかも、美しい着こなしの鍵となります。草履の鼻緒の色を帯や小物とリンクさせるなど、細部までこだわることで、より洗練された印象を与えることができます。

まとめ ― 足元の美しさは心遣いの表れ

着物の美しさを引き立てるためには、足元の清潔さや履物の選び方に気を配ることが大切です。和装の履物は、単なる実用品ではなく、装いの完成度を高める重要なアイテム。だからこそ、状態をチェックし、場面にふさわしいものを選ぶことで、より魅力的な着こなしが叶います。

細部にこだわることは、丁寧な暮らしや美意識の表れでもあります。ぜひ、着物を着る際には、足元まで意識を向けて、より洗練された装いを楽しんでみてください。